病院長メッセージ
奈良県立医科大学附属病院 病院長吉川 公彦
新臨床研修制度が2004年に開始されてから15年以上が経過しました。奈良県立医科大学附属病院もその制度に沿って臨床研修センターを設置し、研修制度を開始しました。
「医師としての人格のかん養、医学・医療の果たすべき社会的役割の認識、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるプライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)の習得」という医師法に掲げられた3つの理念を達成すべく、いわゆる“スーパーローテート方式”により、当院でも700名以上の研修医を輩出してきました。
臨床研修で重要なことは、医師として必要とされる基本的知識、手技を身に付けるだけではなく、医療に関わる倫理、医療安全、感染症対策に対する考え方、コミュニケーションスキル、保険診療を行う上で必要な知識の習得など、生涯にわたって医師として必要な要件を身に付けるための「土台」を学ぶことです。そのため、当院では、セミナーや講習会、講演などを数多く開催し、色々な課題に触れ勉強する機会を設けています。
また、当院の臨床研修の特徴は、研修がスムーズに行われるよう、センター長の赤井教授をはじめとしたスタッフが親身になり、つねに研修状況の確認や研修医の相談相手となってくれていることです。その結果、当初低かったマッチング率も、2016年度に初めてフルマッチ(定員61名に対し充足率100%)を達成して以来、高水準のマッチング率を維持しています。
君たちのキャリア形成を全力で応援します。特定機能病院・地域の中核病院の両面を有する当院で多彩な経験を積み、将来の飛躍に向けた「礎」づくりをはじめましょう。
センター長メッセージ
臨床研修センター センター長
臨床研修管理委員会 委員長赤井 靖宏
奈良県立医科大学附属病院の臨床研修は手堅い!
奈良県立医科大学(奈良医大)の初期臨床研修は単なる「大学病院の臨床研修」ではありません。奈良医大は、大学病院として先進的医療を行うとともに、地域の中核病院として機能しています。その結果、当院では大学病院としての先進医療のみならず、多くのコモン・ディジーズが経験できます。当院で研修を開始した研修医は、他院で研修する友人と比較して、自らが非常に多彩な疾患・手技を経験していることに気づきます。
当院は地域医療におけるいわば「最後の砦」です。患者さんのどんな訴えにも対応し、病態を解明して治療を進めます。研修医は、どんな訴えで来られた患者さんでも、病態が解明されて安定するまで診療に携わります。つまり、自分が最初に考えた「クリニカル・クエスチョン」を診療しながら答え合わせできるのです。1例1例でこのプロセスを繰り返すことが「真の臨床力」を身につけるポイントです。このようなプロセスは、初診から診断・治療までを、他院に任せることなく行える医療機関でしか経験できません。一方で、近年は、「大学病院プログラムでもプライマリケア」を合言葉に、地域研修における診療所やへき地・離島での研修、一次・二次救急と外来診療研修の時間を多くする「プライマリケア・カリキュラム」の整備にも取り組んでいます。地域医療の最後の砦を担う診療と地域を支えるプライマリケアの両者をオンディマンドで経験できるのが当院のプログラムです。当院では、すべての医師にしっかりした臨床力を修得させることに全科で取り組んでいます。また、すべての医師が英語でコミュニケーションできることを目標に、「臨床英語プロジェクト」も開始されています。
単に臨床を行うだけでなく、「真の臨床力」を身に付けるためのスタートを奈良医大で始めてみませんか。当院の研修には、派手なことはありません。しかし、まさに「手堅い実力」を身に付けられる研修です。みなさんとともに働ける日を楽しみにしています。
副センター長 / 整形外科仲西 康顕
これから医師としての第一歩を踏み出すみなさんは、人口構成の変化やAIなど情報技術の発展によって、大きく変わってゆく20年後、30年後の医療を経験していくことでしょう。その中で、医師にも幅広い知識や経験を得て、一生変化に対応してゆく能力が今以上に求められるのでは、と思います。
奈良医大の初期研修は、困難な症例に最新の技術で取り組む大学病院の医療に直接触れながら、たくさんの研修医同士がお互いに切磋琢磨する環境です。「市中病院では滅多に最後まで治療に関わることが無い、大学病院ならでの患者さん」から、主治医あるいは医療チームの一人としてしっかりと学んでください。おそらく、一生役立つ知識と経験が得られると思います。
また、一人一人の進路にできるだけ沿うように組まれた週単位の研修プログラムも奈良医大の大きな特徴です。
“If you want to go fast, go alone. If you want to go Far, go together.(早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け)”
焦りすぎることなく、基本的な技術や考え方といった臨床能力をしっかりと身につけ、確実に3年目以降の成長に繋がるよう、みなさんの2年間の初期研修をしっかり応援したいと思っています。
副センター長 / 糖尿病・内分泌内科岡田 定規
新臨床研修制度が開始されてから10年以上が経過し、制度の充実とともに多くの選択ができるようになりました。全国で1000か所を超える研修病院の中から自分にあった研修先を見つけることはとても大変なことです。初期研修の2年間はその後の医師人生の方向性を決める重要な時期でもあり、決して妥協することはできません。
しかし、残念ながら全てにおいて完璧な研修病院というものは存在しません。研修で得られるものは、“その地域においてその研修病院に必要とされているもの”です。
では、奈良医大に求められているものとは何でしょうか?このホームページには奈良医大に求められている多くの医療ニーズや研修医への期待が込められています。そして、多くの先輩たちがあなたを待っていることが分かると思います。
研修では、医療者や患者さんなど、たくさんの人と接して働くことになります。特に初期研修の2年間に出会う同僚や先輩・後輩たちは必ずあなたの人生に影響を与えることになるでしょう。多様なスタッフを擁する奈良医大には、あなたの医師人生を方向付けるたくさんの出会いがあるはずです。
助教 / 小児科大西 智子
臨床研修制度が開始となり15年以上が経過しました。私も新臨床研修制度を経験しましたが、初期研修医時代に学んだことは、専門診療科に進んだ今でも生かされています。全く異なる診療科の立場から、患者さんやコメディカルと関わることは、まさに初期研修医の中でしか経験できないことです。その中で、多面的な見方や人間としてのバランス力を身につけることができ、この2年間での経験が医療者としての考え方に強く影響を与えます。だからこそ、自分が医師として初めて働く研修病院は、妥協なく選んでほしいと思います。
奈良医大臨床研修プログラムの魅力は、皆さんの希望に沿った研修プログラムを作り上げることです。自分が経験したいと考える診療科は、研修期間中に変化していきます。その希望に添い、また3年目以降の皆さんの進路にもつながるように、研修スタッフと相談しながらプログラムをつくり上げていきたいと思います。
皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。